ビーチコーミングって?

浜辺を歩いていると、思わぬ物を見つけることがある。奇妙な形をした流木や
見たこともないような美しい貝殻にガラスのかけら。なかには、どこかの南の
島から来たのかヤシの実や外国の文字が書かれた瓶が見つかることもある。

このような漂着物を拾って観察したり、テーマを決めて収集したりすることを
ビーチコーミングという。コーム(くし)で髪をすくように、浜辺をくまなく
探索することからこのような呼び名がついた。
欧米ではアウトドアの新しい遊びとして注目を集めており、日本でも関心が高
まってきているようだ。デパートで「漂着物展」が行われたり、漂着物を題材
にした造形アートの展覧会が開かれたりしている。また、高知県大方町にある
「砂浜美術館」のように、砂浜全体を漂着物の展示場とする地域ぐるみの運動
もある。

ビーチコーミングのいちばんの魅力は、発見する楽しさといえるだろう。さま
ざまな種類の貝殻や、変わった形の流木、砂に削られて丸くなったガラスのか
けらなどは拾っておみやげにできるし、クラフトの材料としても使える。また、
外洋に面した海岸では驚くような物が流されてくることがある。例えば、ヤシ
の実やオウムガイの抜け殻、クジラやイルカ、海ガメなどの動物の骨。そして、
沖合いを通る船からの物か、韓国語やロシア語などの書かれたさまざまな生活
用品や漁具、おもちゃなどである。このように、何が見つかるのか分からない
という点からも、ビーチコーミングはロマンあふれる“海の宝探し”といえる
だろう。
そして、拾った物を注意深く観察することでビーチコーミングの楽しさはさら
に広がる。観察ノートを作ってスケッチをしてみよう。スケッチをしているう
ちに、細かい発見が出てくる。漂着物の中には一見何なのか分からないものが
あるが、それを推理するのにも役に立つはずだ。

漂着物がどこから来たのか推理するのも楽しい。例えばクルミの実を拾ったの
で観察してみると、リスのような小動物がかじった跡を見つけることができた。
するとこのクルミは上流から川を下って河口から流れ出たものではないかとい
う推理ができる。そこから海の自然と山の自然が川を通じて密接につながって
いるということが分かってくる。このように、拾った物からどんどん想像がふ
くらんでいく楽しさがビーチコーミングの醍醐味なのである。

また、ビーチコーミングをしていると、海岸が汚れていることを強く実感でき
るはずだ。環境汚染が叫ばれる今、海岸を汚さないためにはどうすればよいか
を考える一つのきっかけにもなるだろう。(MIZUNO:マービスランドより)